良質な社内システムがいい仕事を生み出す

社内システムがエンドユーザーに影響

「会社は社員(人)でできている。社員が満足している企業はいい仕事をする。」

この論理が正しいことは、働いている人なら自明なことだろう。

先日TVを見ていたら、興味深い建設会社を取り上げていた。静岡にある(株)平成建設。メディアでもよく紹介されている。興味深い社内システムを採用しているので紹介したい。

複数の職種にまたがって仕事を与える

社員の4割近くが職人だと言う。小さい企業ならまだしも、500人規模の建設会社では聞いたことが無い。

通常、職人を多く抱える建設会社は、下請け専門でありゼネコンなどから仕事を受注し成り立っている。しかし、この会社はユーザーから直接仕事を受注する「元請」であるらしい。職人を多数抱えることはリスクであるので、普通は外注に回すものである。(下請けに発注する)

なのにどうしてこの会社は成り立っているかと言うと、職人は単職工ではなく多能工として仕事を与えられているからである。

多能工とは

普通、職人は一つの専門職しかやらない。大工は大工、鉄筋工は鉄筋しか扱わない。

完全分業化されているので、一つの工種に関しては効率が良いが、自社施工の場合、他工種は外注が必要なので必然的に自分たちでする仕事が減ることになる。それを回避するため、例えば土工・型枠工・鉄筋工を一人でこなす、大工が監督も兼ねる、など工種・職種にまたがって仕事をするというシステムが作られている。

対内メリット

会社としては、受注した際の外注という無駄が無くなり、自分たちで仕事を確保できる。

構築するまでは大変な苦労があったと思うが、とても優れたシステムだ。なかなかマネはできない。建築プロセスが一本化しているので、品質の向上にもつながるだろう。

対外メリット

職人をつくる、育てることにもつながる。社会にとっても良いことだ。そして会社の特色・強みになっている。

このビジネスモデルは、グッドデザイン賞も受けている。

一方的でない人事考課制度

人事考課にも変わった制度がある。「360度評価」「投票」だという。

「360度評価」は上司だけでなく部下からも、自分の周囲に居る人間から評価を受ける仕組み。「投票」はリーダーを自分たちで決める仕組みだ。全ての社員が投票権を持っている。

強みの理由

会社は社員(人)でできている。個人レベルでは能力にも気力にも限界があり、チームの協力や会社のフォローが必要だ。

社員が満足している企業はいい仕事をする。どの業界にかかわらず、これは共通するものだ。社員の意欲・能力向上という観点で、人事考課の意味は大きい。

こういう仕組みを作った経営者は偉大であり、コストはかからないが結果的に会社は良い方向に向かう。社会のためにこういうシステムがどんどん増えてほしい。

尚、この企業は、おもてなし企業選にも選ばれている。

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