現在の新築住宅(定義あり)は、注文住宅であっても分譲(建売)住宅であって
「住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法)」によるものですが、中古住宅の場合は次のような扱いになります。
瑕疵とは
そもそも「瑕疵」とは、通常の注意では気が付かない隠れた欠陥の
主なものとして、住宅の基礎・外壁のひび割れがあります。
良く見ないと以外に見過ごしてしまうのですが、建物の構造や劣化状態、雨水侵入の可能性を判断する大きな要素となります。
また、壁の中は壊してみないと状態が分かりませんが、普段見ることのない屋根裏・天井裏・床下を確認すると雨漏りや漏水、木材の腐食、接合部(金物)の不具合、基礎の割れなどを発見できる場合があります。
さらに測定器具を用いて壁・床の傾きを測ることにより、地盤沈下や建物の不具合を推測することができます。
中古住宅への品確法10年保証の適用
しかし、品確法による10年保証の規定は新築住宅に限られたものであって、築10年以内の住宅であっても残念ながら中古住宅の場合は適用に
この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。) をいう。
築10年以内の中古住宅物件広告には、「瑕疵保険による保証付き」といった事項が書かれている場合がありますが、それが「既存住宅売買瑕疵保険(中古住宅用の瑕疵保険がある、最長5年)」なのか念のため確認しておいた方が良いでしょう。
瑕疵担保責任に関する民法の規定
では、民法上の瑕疵担保責任の規定はどうかというと、売買の目的物に隠れた瑕疵があったときはまず、
買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
そして、その瑕疵を知った時から1年以内に責任を求めなければならないとされています。(民法577条、566条)
ただし、いつまでもOKという訳ではなく、時効は(引渡しから)10年です。(民法167条)
売買契約による特例(中古住宅の売主が個人)
しかし、中古住宅の売主が個人である売買契約において、「売主の瑕疵担保責任を免除する」「瑕疵担保責任期間を○ヵ月にする」などの内容が含まれていれば、民法の規定でなく売買契約の内容が優先されます。
ただし、知っていながら告げなかった瑕疵の事実については、その責任を免れることができず、売買契約の内容でなく民法の規定が適用されます。(民法572条)
宅建業法による瑕疵担保責任(中古住宅の売主が宅建業者)
中古住宅の売主が宅建業者の場合、今度は宅建業法の規定が適用になり、瑕疵担保責任についての特約の制限があります。
瑕疵担保責任(請求)期間を「引渡しの日から2年以上」とする特約を除き、
(つまり瑕疵を2年経つ前に見つけないと無効だよ、という特約はダメ。3年経つ前に…はOK)
前述の「民法上の瑕疵担保責任の規定(民法566条)」より買主に不利となる特約をしてはならない、とされています。→(瑕疵担保責任免除の特約はダメ)
ホームインスペクション(住宅診断)というリスクマネジメント
中古住宅の瑕疵担保責任については、上記のようにちょっと複雑な内容になっており、新築住宅の場合より購入するリスクがあります。
当然瑕疵が無いに越したことはないので、中古住宅を買う際は十分な確認が必要です。そしてそのためのリスク回避方法の一つが「ホームインスペクション(住宅診断)」です。
中古住宅を購入する前に診断し、瑕疵の可能性・修繕の必要性を発見します。
中古住宅の購入を検討されている方は、セットでホームインスペクション(住宅診断)を利用することを考えてみても良いのではないでしょうか。
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