設計事務所(建築家)に設計を依頼し、工事を地域ビルダーが施工するという家の建て方があります。
注文住宅メーカーの設計では物足りないという方は、細かい要望を家の内外まで反映でき、理想の住まいの実現に近づけるという魅力があります。
しかし、これはかなり贅沢な選択肢です。海外で建築家に設計を頼むのはかなり裕福な人に限られます。
日本で住宅設計を頼む場合、工事金額の10%近く(事務所による。例えば2000万円の住宅では200万円近く)の設計料(工事監理まで含めるとそれ以上)がかかります。
この金額は住宅メーカーの場合だと、設計・申請費として30万円~50万円(会社による)程度です。
高いか安いかは、お施主様の考え方次第です。
建築家の個性と傾向
建築家は一般的にデザインに思い入れがあります。カッコいいに越した事はありませんが、そのデザインが施工しづらい、ひいては後々の不具合につながるようでは元も子もありません。
住宅は公共の建物と違い、建築家の「作品」ではなく、住む人のため 「実用品」 なのです。
また、デザインは人により好き嫌いがあります。個性が強い方もおられるので、相性が大事です。
建築士の資格基準
実は建築士の資格に求められている基準は、建築の計画や法規・構造・施工に関し基本的な知識があり、またそれに基づいて時間内に図面が描けることであり、あくまで机上のものです。
しかし本当に重要なことは、実生活でどれだけ使い勝手が良く、経済性の高い、デザインに優れた設計ができるかです。
これは設計者の現場経験の長さに比例するものだと思われます。
現場経験がある建築士か?
注文住宅の細かな納まり・施工に関しては、やはり現場に携わっている大工さんをはじめとした職人さんが一番よく分かっています。
そして、その現場をコスト・品質面でトータルにまとめているのが現場監督です。実際現場をマネジメントしている彼らが、住宅を一番よく分かっています。
設計をするにも、現場での経験は必ず必要です。
どれだけの手間=コストがかかるか、使う材料や方法によってどんな影響が出るのか、結果に裏打ちされた経験があるからこそ、適正な設計ができると言えるでしょう。
責任の所在をはっきりと
不具合が出た場合の責任の所在ははっきりさせておきましょう。
問題が発生したときに、施工者は「設計が悪い」と言い、建築士は「施工が悪い」と言う。困るのはお施主様本人です。
こうなると厄介です。はじめにきっちりとした取り決めの確認が必要です。
設計事務所が音頭を取り、施主と各工種の施工店が直接契約をするやり方もあります。
誰が現場管理をするのか? 工程調整は? 引渡し後の保証は?
かえって複雑になってしまう場合もありますので、注意しなければなりません。
ですから 「建築家だからすごい、信用できる」 ではなく、やはりその人を見ることが大切なのです。
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