住宅基礎のGL設定はここに注意

GL設定

建物を建てる際、敷地内の地面のどこの高さを基準にするかによって、家は完成時の周辺地面に対し高くも低くもなります。

設計時・計画時なら後の使い勝手、アプローチなどを考慮しコントロールできるのですが、いざ施工してしまったら変更は容易ではないので、重要な決定要素となります。

この基準高さを決めることを「GL設定」などと呼びます。

GL設定(土地と建物の高さの関連計画)のポイント

GLは慎重に設定する

GLとは、グランドライン=地盤の計画高さのことです。

住宅の基礎構造をしっかりとしたものにするのは当然ですが、建物と周囲の地盤面の高さ関係を設計することも非常に重要です。

建物と敷地、建物と道路との高さ関係は、掘削土の処分や外構、住んでからの生活に影響を及ぼします。つまり、費用・手間・工期・使い勝手に直結するということです。

これら高さ関係は、後から直すことはできない(するとしても膨大なロスが発生する)ので設計時・着工時に慎重に設定します。

図面だけではイメージしにくいので、必ず現地で現場監督(担当者)から説明を受け、よく理解してから決定しましょう。

GL設定の確認・検査はされていますか?

道路や敷地より高くする

道路や敷地より低くては雨水が溜まってしまいますので、原則は道路や敷地より高くすることです。設計者がこの基本を守らないことはまず考えられませんが、念のためGL設定の説明は受け、自分でも確認しておきます。

湿気が多い土地である、接する道路がよく冠水する、水害の可能性がある(土地変更の検討も要)など、特殊な事例の場合はそのリスクも見込んで余計に高く設定しておいた方が無難です。

当然設定GLまでの土が不足するので、嵩上げ分の盛土費用が必要になります。それでも近年は異常気象により、自然災害・集中豪雨が多発しています。リスク回避のため、事前対策をしておいたた方が良いでしょう。

尚、土地を嵩上げする場合は地盤沈下しないよう、しっかり転圧することに気を付けなければなりません。

GL設定

地盤転圧の検査はされていますか?

掘削発生土の埋戻し分も考慮しておく

基礎工事はまず地面を掘削します。そこに砕石を入れコンクリートで基礎をつくるので、掘った分の土は余ります。

敷地の大きさ・状況にもよりますが、掘削発生土を基礎工事完了後に周囲の埋め戻しに全て使うと、元の地面より10cm程度高くなることになります。

そのため着工時に、その高くなる分を見込んで埋め戻し後の地盤面の高さを想定し、これを「設計GL」とすれば土の過不足が無くなります。そうすれば、無駄な費用・手間・工期を無くすことができます。

ただし全体計画として、アプローチ・使い勝手を意識し、問題が無いか確認した上でGLを設定することが前提です。

また、土地が広い場合は敷地内に掘削発生土を敷き均すことも考えられます。この場合も、雨水が溜まらないような計画をしておいた方が良いでしょう。

GL設定を誤ると

GL設定が低過ぎる場合

GL設定が低過ぎると、土を埋め戻した際に余計に土が基礎に被ってしまいます。

雨水の跳ね返りによる汚れや、基礎継ぎ目からの雨水浸入の問題も出てくるので、適正な高さ関係にするためには、土を周囲に敷き均すか処理場へ運び出すことになります。

そうなると、敷地内の地盤計画が狂い、使い勝手に問題が出る。或いは、残土処分するための処理代が発生することになります。

GL設定が高過ぎる場合

逆にGL設定が高すぎると、本来土に隠れる部分まで基礎がむき出しになってしまう、つまり土が足らなくなってしまいます。

見栄え上もきれいではなく、アプローチの不具合が出る(階段の段数が増える、スロープが急になるなど)ことからも、足らない分の土は周囲から集める、又は土を購入する費用が発生します。決してGL設定が低いよりましとは言い切れません。

ハウスメーカーのミスなら先方に任せられますが、施主側でも承認していたとなるとトラブルになります。ですから適正な設定が大事なのです。

外構工事にも影響が出る

全体計画の費用・デザインを把握しておかないと、後の外構工事にツケを回したり、無駄を発生させたりすることにもなります。

住宅建築に含まれる土工事の見積りのため、全体計画(外構工事)にかかる費用を把握するため、大まかな測量は見積り前の現地確認の際に行います。

デザイン上も外構計画と家の高さ関係もはじめに考えておかないと、いかにも後付けしましたというようなことになってしまいます。

外構計画と家の設計は一体のものです。親切な住宅メーカーでしたら、外構計画をそっちのけにするようなことはしないでしょう。それも住宅メーカーを選ぶ判断基準の一つになります。

外構工事を含めた全体計画は把握されていますか?

トラブル・不具合が起こらないように

設計時に現況地盤面の高さをきちんと測り、施工の基準となるGL(地盤面の高さ)を支障のないように設定することが肝心です。

後先を考えず、安易に敷地GL計画を設定する施工者もいるようです。どういう意図・全体計画に基づいてGLを設定したのか確認することは、自己防衛のために必要なことです。何か起こってからでは、ハウスメーカーがどこまで保障してくれるか分かりませんし、結局は自分が負担する費用も皆無では無いはずです。

GLの設定意図は理解・納得されていますか?

家づくりはハードだけでなく、ソフト面も重要

GL設定は家の費用、雨水処理・アプローチに関わる重要な事項ですが、そもそも家をどんな人(ハウスメーカー・担当者)がどのように作るか(システム)にかかっています。

どこに頼むかハウスメーカーを見極めることが大切なのは言うまでもありません。家を建てる時はそのことを再認識しておくことが大切です。

家づくり・住宅購入で不安を感じた方は、新築住宅購入コンサルティングをご利用下さい。

コメント

  1. Ken より:

    GLは重要かつ家づくりの基本のキですね。
    にもかかわらず、着工前にろくな審査もせず、適当に設計glを設定した為に、全ての隣地よりも低いGL設定をされました。
    その上、最初はそれを惚けて、問題ないと言いくるめようとして、あげくの果てには、施主負担で、ブラック塀の補強工事をしようとしてました。
    長い長い議論と、私自身が足で集めた証拠を見て、ようやく補強工事費用は、兼設会社の負担を認めたものの、私が工事費用の減額の検討を頼んだら、馬鹿にするような額を掲示、それを拒むと、裁判を匂わせてくる始末。私がそれで、怖気づくとでも思っているのですかね。私もへも知り合いの弁護士に相談したところ、今回のげんがくをは明らかに、設計ミス、施工ミスと言えそうで、これは勝てるといえことなので、このまま大した金銭的提案がないならば、本当に裁判に打って出ようかと思ってます。全く、六な業者じゃありません。

    • homeagent より:

      とんだ災難でしたね。お察しいたします。
      GLの設定は大きな問題に発展してしまいますよね。
      ただ、嫌な思いを抱えたままだと自分にも良くありません。
      もし話がまとまったのなら、心穏やかに新しい暮らしに専念する方が得策かもしれません。
      (テーマ不具合により返信が遅れ失礼しました)