壁や床に無垢の木材を使用した場合、人が触れる箇所(特に床やスイッチ周りなど)には汚れ防止のため、塗装をすることになります。
ただ、無垢の木材は自然素材なので人と相性が良く、その特性を失くすような素材・方法での塗装は相応しくないと考えています。
木材の特性とそれを活かせる塗料について記載しました。
無垢の木材が持つ特性
無垢の木材には、人間の五感に与える良い影響があります。人にやさしい素材と言えるでしょう。
視覚-目で見る
温かい色合いと揺らぎを感じさせる木目が、心を和らげます。
聴覚-音を聞く
柔らかい素材が多いので反射音がきつくなく心地良いことから、楽器や音楽ホールにも多用されています。
建材として適度な固さがあり、加工性があることも有用と言えるでしょう。
嗅覚-匂いを嗅ぐ
ヒノキやヒバなど良い香りの木材が多く(個人差はあります)、鎮静効果があるとも言われています。
触覚-肌で触れる
空気を多く含むため、多くの木材が暖かみを感じさせます。
味覚-食する
まずありませんが、一部薬用になる樹種もあります。
無垢材には浸透性の塗料を
これら人にとって良い木材の特性を殺してしまうのは惜しいことだと思います。この特性を活かせる塗料をご紹介します。
塗料は水性・油性の区別のほか、表面に塗膜を作るタイプ(ウレタン、ニスなどと呼ばれるもの)か浸透するタイプ(オイル、ワックス)かという違いがあります。
家具やカウンター材など、変わらない見た目を求めたりやハードな使用環境の場合は、塗膜を作るタイプの方が耐久性があり無難ですが、一般的な箇所には浸透するタイプを使用することをオススメします。なぜなら、木の表面をコーティングしてしまっては無垢材が本来持つ、目に見えない素材の良さが無くなってしまうからです。
また、浸透するタイプには植物オイルや蜜蝋など自然の材料が多いことも特徴の一つです。
調湿作用-自然のエアコンディショナー
もう一つ、大きな効果として木材が持つ調湿作用が挙げられます。湿気を吸収したり排出したりする作用のことです。
湿気の移動には法則がある
湿気は湿度が高いほうから低い方へ移動します。
空気中の湿度が高ければある程度まで湿気を吸収し、湿度が低ければある程度まで湿気を排出します。このことにより、木の伸縮が起こるわけです。自然素材特有の現象です。
湿度は体感温度にも影響します。湿度が高ければ暑く(暖かく)感じ、湿度が低ければ涼しく(寒く)感じます。
つまり夏は木材により涼しくなり、冬は暖かくなる効果があるのです。自然の加湿器・除湿機の役目を果たしてくれます。
無垢材は自然のものでありこれらの作用があるので、いくら乾燥材を使うと言っても縮み・変形が起こる可能性があります。
しかし、それもまた無垢材の味わいです。そしてせっかく無垢材を使うならその特性を活かせる浸透するタイプの塗料を使うことをおススメします。
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