過酷な屋根裏空間の環境
夏の太陽光は上から差します。つくば市の場合は、夏至の南中時には約77度にもなります。
当然屋根は熱せられ、小屋裏(屋根裏)の気温も相当高くなります。そしてその熱が室内へじわじわと伝わってしまいます。この熱のことを「輻射熱」と言い、熱の伝わり方の実に75%を占めます。
体感温度は次の式で表わされます。つまり、室温が適温と表示されても何となく暑い(寒い)ということもあるのです。それは、天井や壁・床からの輻射熱のせいです。
いくら室内でエアコンをかけても効きが悪い、なんていうことにもなりかねません。この輻射熱を逃がすことが、夏を涼しく過ごす効果にもつながります。
空気の対流で熱を逃がす
この熱を逃がすためには、2つの方法があります。特に一般的な住宅では最上階である2階空間(平屋の場合は1階)を、快適に過ごせるようにする大事な工夫の一つです。
屋根から逃がす ― 棟換気金物
空気は熱くなると軽くなり上へ上がるという性質を利用し、屋根のてっぺんから逃がす方法です。
もちろんただ隙間を空けるだけでは雨が入ってしまいますので、屋根の上部に「棟換気」用の部材を取り付け、ここから熱くなった空気を逃がします。
棟換気金物は瓦用、金属板用など屋根の素材に合わせて選びます。
壁から逃がす ― 棟換口・通気口
もう一つが妻側の壁(切り妻屋根における三角形の部分)に換気口・通気口を設ける方法です。併せて換気口の外部には「ヤギリ」と呼ぶ化粧部材を取り付けます。
和風・洋風があり、建物のデザインに応じて選びます。
場合によっては強制的に風を送るファンとダクトを取り付ける方法もあります。
空気の入口を設ける
上の二つは、共に空気の出口に関しての記述です。これらの方法を有効に活用するためには、「空気の入口」を設けることが必要になります。
一般的には、軒天井(外から見える屋根の裏側部分)の材料に設けます。
住宅金融支援機構が発行している「木造住宅工事仕様書」に「小屋裏換気」について細かく記載があります。
屋根裏(小屋裏)を部屋として使うには…
天井を作らず屋根裏を部屋として使う場合は、屋根面で断熱をする事になります。その場合は小屋裏換気は不要になります。
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