重要な要素である断熱材
ご承知のとおり、建物の断熱対策は非常に重要である。
特に近年の異常な暑さに対して断熱対策を行うことは、必要不可欠である。家計や環境問題、室内での熱中症などの健康問題にもつながる。
また、実は冬の住宅内での事故は、交通事故以上に多いと言われている。その原因は、暖かい部屋から寒い廊下やトイレ・浴室に移動した際、急激な温度差によって起こる体への負担、いわゆる「ヒートショック」である。
これらを防ぐために断熱対策を行うわけだが、断熱材には「工法」と「材料」の議論がある。
断熱材の工法と材料
日本住宅の断熱は、土壁(意図せずして)→空洞→グラスウール、という変遷をたどってきた。まずは壁の中に断熱材を詰めるという「充填断熱」という方法であった。冬の壁内結露による不具合が表面化し懸念されたが、工法が改良され、グラスウールはまだまだ多くの住宅で使用されている。
近年は石油化学系発砲断熱材による「外張り断熱」や、自然素材による「充填断熱」も多くなっている。「高気密高断熱」という言葉がもてはやされ、一時工法の議論が白熱した。相当数の関連書籍も発売された。
どの断熱材が良いのか?
さてそこで「結論として何が良いのか?」ということだが、結論は出ていない。というか、見解が分かれているといったほうが良いだろう。
私も様々な意見を聞き、自分なりに考えてみたが、結局「これでなくてはいけない」という唯一絶対的な見解は持っていない。それよりもその家に暮らす人のライフスタイルに依拠する部分が大きいと、多様性があって良いのではないかと考えている。
住宅の選択において、ライフスタイルは思想である。まずはその思想があり、次に断熱の「材料」があり、それに適した正しい「工法」がある。そう考えた方がしっくりくる。
そういう考えに至るにあたって、大変参考になった本がある。かなり前の出版だが「外断熱が危ない!」という本である。エクスナレッジから発売されている。
この本は単に外断熱工法を否定するだけではなく、工法や材料のメリット・デメリットを交えながら解説している。材料は使い方次第、工法は限定しない、という主旨である。
理屈が分かりやすく、これからの暑い季節に向けて一読の価値あり。
追記:同著者による新刊も出ている。
コメント