見積書の傾向
注文住宅はこれから建てるものですので、見積書も「この材料をこれだけ使ってこのように作るので、これだけの費用がかかりますよ」という一種の約束事が書かれています。
それだけに細かくもなり、見慣れない専門用語や大きな金額が羅列されているため、訳が分らず困惑してしまいます。
しかも、見積りのしかたは会社ごとに異なるので比較しにくいものでもあります。皮肉なものできちんとした見積りをする会社ほど、図面もきちんと描かれ、見積書も細かく算出されるので、分りづらいことになります。
一方、ハウスメーカーや施工件数が多いビルダーは、見積り依頼も多いため、経験知的な簡略式の見積りをする会社が多数を占めます。○○工事一式という表記が増えるなど、逆に見積りの中身が見えにくく、疑心暗鬼になってしまう面があります。
どちらにしろ一般の人にとっては分かりにくく、しかし重要な書類であることは間違いありません。にもかかわらず、見積書の見方という解説書を添付する会社は、ほとんど無いでしょう。
そこで事例として見積書の見方を解説します。
見積書の根拠
それは図面と仕様書です。
見積りに使う図面は、施工に必要な詳細なものではなく、あくまで金額を算定するための図面です。
信頼できる工事仕様書として、住宅金融支援機構が発行するフラット35対応のものがあります。
図面には形や大きさが示され、仕様書には使用する部材(種類やグレード)が記載されます。
ですので、図面と仕様書、見積書の3点はあくまでセットになります。
打合せ途中には図面・仕様の計画変更がよくありますが、書類がどんどん増えていくため旧版・新版と混ざらないよう、この3点は必ずセットでファイルするようにしましょう。
契約時には正式な書類として改めてこの3点が手渡されます。
見積書項目の事例
項目の構成・呼び方は、各社様々です。
事例として、5つに分類しました。
本体工事は項目が多いので別ページにしました。「住宅見積書の項目解説」をご覧下さい。
付帯工事
どこまでが本体でどこからが付帯だという明確な基準はありません。各社まちまちなので、総事業費で考えないと比較になりません。
冷暖房設備工事
エアコン機器、配管工事、蓄熱暖房機、薪ストーブ、防火・耐熱工事など
エアコンは埋設配管を希望しなければ後付けできます。ただし、下地は入れておきましょう。
蓄熱暖房機、薪ストーブなどの特殊機器には、防火・耐熱工事が必要になります。
屋外設備工事
- 浄化槽工事 … 浄化槽、ブロア、設置工事、接続工事、処理槽など
- 下水道工事 … 下水引込み、接続工事、配管工事、など
- 井戸工事 … 井戸掘り、ポンプ、など
土地により選択肢が異なります。土地選びの際の注意項目です。行政により浄化槽補助金や一定額(負担金・分担金)で下水引込みができる場合もあります。
外構工事
門塀、フェンス、カーポート、植栽、敷石、ウッドデッキなど
外構の専門業者が増えており、別途直接発注した方がうまくいくこともあります。
解体工事
足場、解体費、処分費、養生費、など
住宅メーカーを介して見積りは取れますが、金額も大きいので複数の業者を比較したい項目です。
設計・申請費
明確な基準はありません。
- 設計・図面製作費
- 建築確認申請費用
- 確認申請手数料
- 地盤調査費
- 検査立会い費
- 契約収入印紙、など
主な図面
案内図、敷地配置図、仕上げ表、平面図、立面図、断面図、矩計図、基礎伏せ図、床伏せ図、小屋伏せ図、天井伏せ図、展開図、建具表、電気設備図、給排水設備図、など
施工上、また後の改修時にもある程度の枚数は必要です。少なすぎては施主も自分の家がどうなるか分かりませんし、なりゆきの施工がOKになってしまいます。
実際の施工時に給排水系統などの変更があった場合は、後々のメンテナンスのため図面を訂正してもらいましょう。
諸経費
明確な基準はありません。各社まちまちです。
- 運搬費
- 現場管理費
- 保険費用(労災・建設工事保険)
- 現場経費
- 本社経費、など
諸経費として計上せず、工事費に含ませている会社もあります。比較する場合は総事業費で考えましょう。
諸費用
その他関連諸費用については、「諸費用を明確にする」をご覧下さい。
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