注文住宅の見積書を理解するのに必要な、工事項目の見方・注意事項を解説します。
ここでは、本体工事と呼ばれる中身に絞ります。全体の項目は、注文住宅の見積書の見方をご覧下さい。
本体工事の内訳
坪単価の分子部分とされます。項目を付帯工事にまわせば坪単価は下がります。見積りのトリックです。
坪単価はあまりあてにせず、工事費の総額で判断しましょう。
工種の呼び方・内容は様々です。下記記載事項は事例と捉えて下さい。項目が多いので簡潔に書きます。
仮設工事
遣り方(丁張り)、内外部足場、仮設電気・水道・トイレ、養生・片付け、仮囲い、残材処分費、進入路整備、など
- 内容の一部が付帯工事に回される可能性がある。
杭(地盤改良)工事
材料、施工費、運搬費、重機費用、など
- 地盤調査により必要になる場合がある。調査は土地購入後でないとできないが、工事契約前には行っておきたい。
- 地盤改良が必要な場合は、大きな費用が一度に発生するので、複数業者からの見積りを取るよう住宅メーカーに依頼したい。
土工事
ハツリ(既存解体部がある場合)、根伐り(掘削のこと)、盛り土(地盤高低差がある場合)、土留め(同)、砕石(コンクリートの下に敷き、転圧)、重機運搬、ポリエチレンフィルム(地面から湿気が上がって来ないよう、コンクリートの下に敷く)、基礎断熱(施工する場合)、地均し、残土処分など
- ハツリ、盛り土、土留めは付帯工事に回される可能性あり。
- 費用を削るため、引渡し時に地均しをしない会社も ← ▲確認する。
基礎工事
鉄筋(太さ・ピッチは各社異なる)、型枠、アンカーボルト、コンクリート材料、コンクリート打設手間、ポンプ車費用、天端モルタル(立ち上がり上部を平らに均す)など
ベタ基礎が一般的。項目が細分化されていない場合も多い。
- コンクリートも強度によって価格が異なる。基準は24N/m㎡、冬季は強度を上げる。
木工事
木材・建材(材種・等級・数量)、大工工賃、金物代、など
- 木材種・等級により価格が大きく変わる。
屋根工事
材種(瓦・コロニアル・ガルバリウムなど)、防水シート(ルーフィング、逃湿・遮熱タイプもある)、荷揚げ・運搬費、など
- ルーフィングの仕様は、家の耐久性・住み心地にも関わる。
外壁工事
材種(サイディング・モルタル・塗り壁・板張りなど)、施工費、など
- 多くの方法がある。材料と工賃に分けてもらった方が分かりやすい。
板金工事
雨樋(軒樋・縦樋、集水枡)、水切り、など
- 集中豪雨・ゲリラ豪雨が増えているので、雨樋の雨水処理能力を計算してもらう。
防水工事
バルコニー防水(FRPが一般的)、シーリング(外壁・サッシ周り・室内水周り)、など
- 集中豪雨・ゲリラ豪雨が増えているので、バルコニーの雨水処理能力も考慮する。
断熱工事
材種(グラスウール・発砲系素材・自然素材など)、施工費、気密工事、など
- 住み心地に大きく影響する。特徴・性能の差が大きい重要項目。地域区分に応じて必要な素材の厚さ(能力)が異なる。
左官工事
基礎巾木モルタル刷毛引き(基礎外面の化粧仕上げ)、室内左官壁・天井(材料、工賃)、土間金ゴテ押え(外部土間)、など
- 多くの素材(漆喰・珪藻土など)がある。材料と工賃に分けてもらった方が分かりやすい。
タイル工事
玄関床・巾木、玄関ポーチ・階段、室内床・壁(水周り)、など
- 多くの素材がある。材料と工賃に分けてもらった方が分かりやすい。
鋼製建具工事
アルミサッシ工事(製品代、工賃)、シャッター、既製庇、網戸、換気ガラリ、など
- ガラスは複層(ペアガラス)が一般的。Low-Eガラスなど断熱性が高いものもある。木枠・樹脂枠、性能により価格が大きく異なる。
木製建具工事
各種建具(製品代、工賃)
- 造作物はサイズが自由だが、一般的に既製品の方が安い。無垢材は高い。
内装工事
畳、クロス、クッションフロア、コルクタイル、など
- 多くの素材がある。種類やグレードによって価格は異なるが、普及品が多い。
塗装工事
木部(床・壁・枠・棚・巾木・廻り縁)、軒天井(外部)、破風・鼻隠し(外部)、外壁、など
- 無塗装の建材では必要になるが、塗装済の既製品も増えている。木材の使用が減るにつれ、塗装箇所も減っている。
家具工事
製作する造作家具
- 大型・特殊でないものは、大工工事に含まれる場合が多い。
雑工事
ハンガーパイプ、給気口、ベントキャップ(給排気カバー)、床ワックス、クリーニング、物干し金物、火災報知器、など
- 金額的には大きくない項目。
屋内設備機器工事
キッチン、洗面、トイレ、浴室、換気扇、水栓、その他備品、など
- 機器により価格が大きく異なる。こだわる部分でもあるが、ほとんどが家本体とは別項目の既製品。造作すると高くなる。
- 既製品は住宅設備メーカーのショールームで確認することになる。
屋外設備機器工事
給湯器・ボイラー(エコキュート、エコジョーズ、エネファーム)、太陽熱利用システム、太陽光発電、など
- 機器により価格が大きく異なる。ランニングコストに関わる部分である。家本体とは別要素。
電気設備工事
電灯、コンセント、スイッチ、TV配線、TEL配管、LAN配線、照明器具、アンテナ、分電盤、東電申請費、など
- 家電が増え電力使用量も増えている。それに応じ回路数・分電盤の規格も変わってくる。
給排水設備工事
給水・給湯配管、給湯器周り、排水・雨水配管、雨水枡、器具取付け、屋外給水・給湯配管、メーター周り、散水栓、外水栓、申請費、など
- 土地により水道引込み、排水・雨水処理のため、多額の費用がかかる場合がある。土地選びの際の注意項目。
ガス設備工事
引込み工事、配管工事、接続工事、など
- 都市ガスとプロパンで異なる。前者は工事費がかかり、後者は業者持ちの場合が多い。ただしその場合、毎月のガス料金が高くなる。
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