住まい選びにおいては、住宅の性能・品質という言葉が飛び交いますが、その言葉の意味・使われ方に関しては曖昧な部分が多くあります。
家づくりをする上で、自分たちが求めるものは何なのか考えてみることは大切な工程です。そこで、改めてその言葉の定義を整理してみたいと思います。
住宅の機能とは
機能とは、その部分が持っている固有の役割 ー モノの働き ー のことです。
例えば、
- 家全体なら、地震で壊れてはいけないよね。
- 屋根なら、雨が漏ってはいけないよね。
- 窓なら、隙間があってはいけないよね。
ということです。
逆に言うと、その部分が本来持つべき役割を定義し、条件に応じ設計することになります。
住宅の性能とは
性能とは、性質と能力のことです。なるほど、読んで字の如くですね。
機能で定義された役割に対し、具体的にどのくらいの能力なのかを表す程度です。上の例にあてはめると
- どのくらいの地震に耐えられるのか?
- 何年雨漏りしないのか?
- 水密性・気密性の基準は?
ということになります。
場合によっては法律で必要な基準が定められていたり、等級が表示されています。建物性能の最低基準は建築基準法が、評価については品確法における住宅性能表示制度、サッシや建材の各種等級などが挙げられます。
同じモノサシで表されていれば、選ぶ側も比較しやすくなりますね。
住宅の品質とは
では、品質とは何でしょうか?
求められる性能基準に対し、それを上回っていれば一応OKということになりますが、その中にはギリギリ合格というレベルと余裕で合格というレベルの違いがあります。
性能が合格点であるならば、品質はその達成度・到達度になります。性能はその能力を数値で表されることが多いですが、品質は実感や感触・使い勝手など数値というよりも感じ方によるところが大きく現実的です。
また性能と品質の関係は、必要条件・十分条件の関係に似ています。
「品質が良ければ性能は良い」は分かる気がしますが、「性能が良ければ品質は良い」には違和感を感じます。
性能は規定どおりのことをこなしていれば達成できる程度で、品質はきちんと管理されなければ向上が見込めない程度、と考えてみました。
欲しいのは品質である
私たちが求めるものは「性能」というより「品質」なのではないでしょうか?
前述のとおり、住宅の性能は規定されているものもありますが、品質は表現されていません。また、品質は家が出来上がって住んでみなければ分からないものです。
住宅メーカーの中には、品質管理のプロセスを売りとして公開している会社もありますが、ごく一部です。選ぶ側、つまり施主であるあなたが住宅メーカーと契約する前に、出来上がる家の品質を想像しなければなりません。
雑誌やカタログに載っていないその「品質」を見極めることを重要視して下さい。
表面からは見えにくいその住宅メーカーの「家づくりのシステム」を注視することが肝心です。
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